「隠れた名盤」石嶺聡子『洋灯(らんぷ)~nostalgia for tomorrow』


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11年ぶりの新作で安定した歌声
 90年代に喜納昌吉『花』のカバーで注目を浴びた実力派歌手。当時から、尾崎亜美や中島みゆきなどの提供曲を経て自ら詞曲を手がけていたのだが、『花』での熱唱以外の特長が語られることが少なかった。しかし、11年ぶりの新作では安定した歌声を聞かせる。

 本編の8曲は『The End of the World』など古い洋楽のカバー。英語詞のまま歌うと、自作期以降のハスキーで穏やかな声なのに、訳詞で歌うと、デビュー当時の強く響く歌声となり、さらに『雨にぬれても』など陽気な楽曲では沖縄の陽気な女性らしいリズム感が垣間見えるのが面白い。それらすべてを否定しない現在の作品に、これまでで最もリラックスできた。
 ボーナスに、アコギ弾き語りの英語版『HANA』をライブで収録。サビの“泣きなさい/笑いなさい”のみ日本語で伸びやかに歌うのも彼女の自然体なのだろう。本作を聞けば、長年遠ざかっていた趣味でも、今のスタンスで取り組むことができるはず。
 (徳間ジャパン・1852円+税)=つのはず誠
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つのはず誠のプロフィル
 つのはず・まこと 1968年生まれ。総合化学会社、音楽宣伝会社勤務を経て、T2U音楽研究所設立。音楽市場分析、コンピレーションCDの企画・選曲などを手がける。
(共同通信)

洋灯~nostalgia for tomorrow~
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石嶺 聡子
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石嶺聡子『洋灯(らんぷ)~nostalgia for tomorrow』
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