県、円覚寺「山門」復元へ 戦災で焼失、18年度完工


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 県は沖縄戦で失われた首里円覚寺の「山門」(首里城公園内)を復元する計画を進めている。2015年度中に設計を終え、着工する。早ければ18年度にも工事が完了する。

 円覚寺は沖縄での臨済宗総本山だった。琉球最大の寺で、第二尚氏王統の菩提寺(先祖の位牌(いはい)を納める寺)として1495年に完成した。山門は境内に入る際にくぐる門。山門や本堂などの建造物は1933年1月に国宝指定されていたが戦災で焼失した。これまでに総門、放生池、放生橋などは68年に復元されている。その他の建造物は資料が不足しており復元できていない。
 山門は禅宗様式で、大きさはおよそ幅23メートル、高さ11メートル、総床面積は約150平方メートルの2層造り。内部には仏像が安置されていた。戦前の写真などの資料が多く残っていたことや、97年から5年間、県立芸術大学敷地内約3千平方メートルで実施した発掘調査では、円覚寺敷地内の遺構(建物の基礎部分)が確認できたことから復元計画が実現した。
 県教育庁文化財課の担当者は「円覚寺の各施設は首里城と一体となって歴史的な空間をつくっている。復元後には(足を運んでもらって)現存していた当時の様子を少しでも感じてもらいたい」と話した。