国内特産品をアジアへ 国際物流ハブ5周年シンポ


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国際物流拠点としての沖縄の可能性について意見を交わすパネリストたち=28日、那覇市のANAクラウンプラザホテル沖縄ハーバービュー

 2009年10月の那覇空港を拠点(ハブ)とする全日本空輸(ANA)の国際航空貨物事業開始から5周年を迎え県は28日、沖縄国際物流ハブ5周年記念シンポジウムを那覇市内で開催した。

昨年から国際物流ハブを活用してアジアや欧州向けに部品を供給する東芝の子会社は取扱量が7倍に伸長し、沖縄を中継して海外を結ぶ「アウト―アウト」の取り扱いも増大していく見通しを示した。パネル討論会では「21世紀の万国津梁」を目指し、沖縄を拠点とした日本の特産品のアジア展開をさらに拡大させる方向などを確認し合った。
 ANAやヤマト運輸のほか、県内外の企業の代表らが出席して、国際物流ハブのこれまでの成果や今後の可能性について意見を交わした。
 香港に県産豚肉を輸出する県食肉輸出促進協議会の與儀善榮会長は、輸出先の拡大を目標に掲げ「ベトナムと日本が畜産物の2国間協定を締結し、全国に食肉関係の認可施設が30カ所近くできた。ベトナムへの直行便が飛べば、沖縄を経由して多くの生産者が送るのではないか。そこで一緒に県産品を輸出すればスムーズにいく」と就航先の拡充に期待した。
 生鮮品をアジアに翌日配送する国際クール宅急便を展開するヤマト運輸の梅津克彦グローバル事業推進部長は「日本の安心・安全でおいしいものを生産者が1個からでも売れる付加価値の創造を考えている。日本の四季、旬をどう輸出するかがこれからの挑戦だ」と話した。
 ANAホールディングスの貨物事業会社、ANAカーゴの岡田晃社長は「地点やダイヤ、ヤマトとの連携でプラスアルファのサービスを提供したい。21世紀の万国津梁として発展させていきたい」と抱負を語った。
 昨年から国際物流特区那覇地区内のパーツ(部品)センターを拠点に、自動紙幣処理機などの保守パーツをアジアなどに供給している東芝自動機器システムサービスの滝澤靖司社長は「当初は400種類だったパーツは7倍の2800種類に増えた。今後新製品が増えればパーツも増える」と実績を紹介した。韓国や中国などから沖縄にパーツを運んで保管し、再び海外に出す「アウト―アウト」の増大も見通した。
 川上好久副知事は検疫作業の迅速化などに取り組む方針を示した。経済ジャーナリストの財部誠一氏がモデレーターを務めた。
英文へ→Symposium held for fifth anniversary of International Logistics Hub