「洋楽=2」ディオンヌ・ワーウィック『フィール・ソー・グッド』


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

フィール・ソー・グッド

今日ある幸せに感謝する愛の歌声

 さて、今年72歳のバーブラに双璧をなす現役女性シンガーと言えば73歳のディオンヌをおいて他はないでしょう。グラミー賞5冠に輝くR&B界のレジェンド、約2年ぶりの新作もなんとデュエット・アルバムです。

 ゲスト・ボーカルにはニーヨ、シンディ・ローパー、グラディス・ナイト、ジェイミー・フォックス、ビリー・レイ・サイラスといった面々。彼女のキャリアの基となったバート・バカラックとハル・デイビッドとのペンによるヒット曲を中心に歳を感じさせない歌唱を聞かせてくれます。
 また息子のデイビッド、孫のチェイニー・エリオットと歌う彼女の歌声には至福とも言える優しさ、そして歌に対する愛情が満ちあふれています。1940年生まれの彼女、華やかに見えるその人生は60年代の公民権運動時代など決して楽なものではなかったと思います。これは流行のデュエット企画と言うより彼女が今日ある幸せに感謝をしている作品に感じられます。
 (ホステス・2371円+税)=北澤孝
(共同通信)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
北澤孝のプロフィル
 きたざわ・たかし 1947年、東京生まれ。小学生のころからダイナ・ショアなど洋楽を好み、大学時代はニューオリンズ・ジャズ・クラブに所属し、トラッド・ジャズを研究。その後レコード会社、音楽出版会社に勤務。携わったアーティストは、ポール・モーリアからボン・ジョヴィ、ブリトニー・スピアーズ、MONKEY MAJIK、Superflyまで多岐にわたる。

ディオンヌ・ワーウィック『フィール・ソー・グッド』
北澤孝