「隠れた名盤」馬場俊英『LOVE SONGS』


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実直な人の愛情表現が伝わり幸せな気分に

 1996年にデビューし、2006-07年頃不屈のシンガーとして注目を浴びた男性の12th。これまで『スタートライン』など逆境人生ソングの印象が強かっただけに、このタイトルはかなり意外だ。

 実際、1曲目から恋愛ソングが大半だが、どうもしっくり来ない。前半では得意の応援系『最後まで』が最も心に響いたほどだ。
 ところが8曲目の『金曜日の天使たち』で状況が一変。スターダスト・レヴューの本歌取り風で楽しい内容に、根本要の歌唱参加で一気にツヤが出る。以降、『風の中のI Love You』や『今夜』など、彼の温かい歌声だからこそ愛の告白に心が安らぐ。そして再び最初から聞くと、実直な人の愛情表現がじわじわ伝わってきて、何だか幸せな気分になった。
 DVDには大阪城野音でのライブから8曲を収録。CDと比べると、同じ演目の5曲も躍動感が倍増するので、迷わず初回盤をオススメしたい。本作を聞けば、人を嫌う前に今一度別の角度から理解しようと思えるはず。
 (ワーナー・DVD付き初回限定盤4167円+税)=つのはず誠
(共同通信)
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つのはず誠のプロフィル
 つのはず・まこと 1968年生まれ。総合化学会社、音楽宣伝会社勤務を経て、T2U音楽研究所設立。音楽市場分析、コンピレーションCDの企画・選曲などを手がける。

LOVE SONGS(初回限定盤)(DVD付)
馬場俊英
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馬場俊英『LOVE SONGS』
つのはず誠