「大ヒット盤」竹原ピストル『BEST BOUT』


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アッパーな曲とバラードの両路線が冴えまくる

 年間300本近いライブを行う男性の5thフルアルバム。かつて2人組“野狐禅”として所属した事務所やメーカーに7年ぶりに復帰した。
 吉田拓郎よりも字余り調で、長渕剛にも劣らぬ強いメッセージを延々まくし立てて歌うアッパーな楽曲。そして、ハスキーな声が寂しく、でも優しく染みわたるバラード。

アコギ中心で過去の作品やライブでもお馴染みの両路線は、今回も冴えまくる。
 さらに本作では、バンドサウンドが増えた。精神障害だと語る1ファンに“薬づけでも生きろ”と激しく叫ぶ『LIVE IN 和歌山』。疲れきった男性が最後の絵や手紙を書いたつもりが別の完成形になったと歌うドラマチックなバラードの『カモメ』。いずれも、旧作より普遍的に聞こえるので、今後より多くの人に伝わると期待する。
 筆者自身、彼の作品には毎度“号泣スイッチ”を押されるが、その度に生命を実感する。本作を聞けば、相手と、そして自分自身と本気で向き合う勇気をもらえるはず。
 (ビクター・2900円+税)=つのはず誠
(共同通信)
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つのはず誠のプロフィル
 つのはず・まこと 1968年生まれ。総合化学会社、音楽宣伝会社勤務を経て、T2U音楽研究所設立。音楽市場分析、コンピレーションCDの企画・選曲などを手がける。

竹原ピストル『BEST BOUT』
つのはず誠