公立幼稚園保育料 10市町村、所得別負担に


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公立幼稚園 2015年度以降の保育料のあり方/認定こども園に移行予定

 2015年度に始まる「子ども・子育て支援新制度」に伴い、県内10市町村が公立幼稚園の保育料をこれまでの一律料金から、保護者の所得に応じた「応能負担」に変更を予定していることが、琉球新報社が全41市町村に実施したアンケートで7日までに分かった。

具体的な料金は大半の市町村が検討中。糸満、石垣、国頭の3市村が公立幼稚園と公立保育園を軸に、幼稚園と保育園の機能を併せ持つ「認定こども園」への移行を検討していることも示された。
 「公立幼稚園の在り方をどうするか議論を始めた」という那覇市を含め、大宜味、今帰仁、中城、渡嘉敷、伊是名の6市村が「認定こども園への移行も視野に検討中」と回答した。料金体系や運営形態が変わる新制度の実施を控え、これまで沖縄で根付いてきた「5歳児になったら幼稚園」という子育て事情に変化の兆しが出ている。
 アンケートは新制度への対応を聞く目的で10月に実施し、全41市町村から回答を得た。
 新制度の枠組みに入る幼稚園、認定こども園、保育所、地域型保育の利用料金は、国が示す上限額内で市町村が定める。保護者の所得に応じた「応能負担」が基本だ。保育を必要とせず、幼稚園や認定こども園の利用を希望する「1号認定」の保育料は、5段階の収入階層に応じて国の上限額は月額0~2万5700円と示されている。
 アンケートでは、次年度以降の料金について「一律料金のまま」と答えたのは10市町村。16市町村が応能負担への移行も含め「検討中」と答えた。複数の市町村が「現行の入園・保育料をベースに検討している」と話しており、次年度は大きな増額はない見通しだが、今後正式に決まる国の公定価格や市町村の財源次第で値上げの可能性もある。
 認定こども園への移行を検討する3市村では、沖縄特有の「二重保育」の解消を目指すほか、幼保を統合することで一定規模の集団保育を維持したい考えだ。
 認定こども園は全国的には、保育園の待機児童解消策の一つとして、定員割れが続く幼稚園と保育園を統合する動きが主流とされる。一方、県内では子どもの数が減少し、公立幼稚園における複数年保育が進んでいる地域から先行して、認定こども園への移行を検討する傾向にある。

<用語>認定こども園
 幼稚園と保育所の機能を併せ持ち、地域の子育て支援も担う施設。2006年に導入された。親の就労にかかわらず3~5歳児が利用できる。0~2歳児は保育認定が必要。県内には現在2園で市町村立はない。国は新制度による普及を目指している。公立を含む認可幼稚園と認可保育園が連携して運営する「幼保連携型」、認可幼稚園が保育所的機能を備えた「幼稚園型」、認可保育所が幼稚園的な機能を備えた「保育所型」、地域の教育・保育施設がこども園の機能を果たす「地域裁量型」の4タイプある。