アリモドキゾウムシ、津堅島で根絶間近


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トラップに掛かる虫を採取する県病害虫防除技術センター職員=12日、うるま市津堅島

 うるま市津堅島に生息し、紅イモなどに食害を与える特殊病害虫アリモドキゾウムシの根絶が大詰めを迎えている。2011年11月から14年10月までの3年間で、採取した植物から発見されたアリモドキゾウムシは1匹だけだった。アリモドキ根絶達成を目前にして、県はサツマイモなどアリモドキゾウムシが寄主する植物を同島へ持ち込まないよう呼び掛けている。

 アリモドキゾウムシを根絶した場合、ブランド化に向けた取り組みが加速化し生産意欲の向上など生産振興が期待される。
 津堅島の防除対策は、07年から始まった。県病害虫防除技術センターが中心となって実施している。ノアサガオや紅イモなど特殊病害虫のアリモドキゾウムシとイモゾウムシが寄生する植物の採取調査と同時に、不妊化した病害虫を放ち繁殖を妨げている。その他、夜間発光して虫を捉えるトラップとフェロモンでおびき寄せるトラップを島内各地に常時設置している。
 11年11月から3年間、アリモドキゾウムシが寄生するノアサガオやイモなど20万3千本を採取した結果、発見されたのは13年12月の一度だけだった。
 一方、トラップからはアリモドキゾウムシが発見されている。防除センターは、島外からの持ち込みを含め、出どころを調査している。発生原因を特定し対策を講じて根絶に結び付ける考えだ。
 県病害虫防除技術センターの松山隆志研究主幹は「限りなくアリモドキゾウムシの根絶に近い状態まで来ている。島外からのサツマイモなどの持ち込み禁止の呼び掛けや、農家への説明会など根絶に向けて対策を講じている」と説明した。(上江洲真梨子)

<用語>アリモドキゾウムシ
 世界各地の熱帯・亜熱帯に分布。体長は6~7ミリ。県はサツマイモ重要害虫に指定。サツマイモが幼虫に食害されると異臭と苦味が出る。現在も生のサツマイモなどの県外への持ち出しが禁止されている。久米島では2013年1月に根絶に成功した。