那覇空港滑走路増設 ターミナル、中間配置を


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 那覇空港の滑走路増設工事が進む中、利便性向上のため将来的にターミナルの施設配置を見直すよう求める声が観光業界や航空関係者から上がっている。現在のターミナルビルの位置では、第2滑走路が完成しても2本の滑走路を最大限活用できず、航空機の発着回数も1・4倍にとどまる予測となっている。

航空会社にとっては航空機燃料の消費増への懸念もある。沖縄観光コンベンションビューローの上原良幸会長は、2本の滑走路の中間位置に新ターミナルを設置する必要性を訴えている。
 ターミナルが陸側にあることで、沖合滑走路を使用する航空機は、従来の滑走路を横切ることになり、航空機の運用に制限が出てくるとの指摘がある。
 さらに沖合滑走路と陸域をつなぐ連絡橋が北側に1本しかなく、南向けに着陸した際にはターミナルまで移動するのに北側の連絡橋まで戻らなければならない。
 航空関係者からも、現行のターミナル位置では沖合滑走路への移動によって航空機燃料の消費が増えることに懸念がくすぶっている。
 国土交通省は、滑走路増設で処理容量は年間13・5万回から18・5万回へ約1・4倍になると見込む。別の航空関係者からは、滑走路2本でも発着回数は2倍にならず、自衛隊との軍民共用による制約も大きいとの指摘もある。
 上原会長は、これらのコスト解消や効率的な航空機の運用に向けて、従来の滑走路と沖合滑走路との間にターミナルを設置する構想を提案している。ターミナルを中心に両滑走路に360度開放した形になる。
 その場合、滑走路に挟まれたターミナルから市内への接続のためには、地上経路ではなく地下連絡路の開設なども必要となってくる。
 上原会長は「国内外のプロモーションなどさまざまな観光施策が奏功して成果が出てきている。これからは質も考えないといけない。現在、滑走路増設が進んでいる段階だが、ターミナルをどうするのかも早めに声を上げないといけない。海外客が増える中では、インフラ(基盤)は世界と比べないといけない」と話した。

現在の那覇空港ターミナルと駐機場(2013年7月撮影)