真剣に向き合うべき深遠な世界が広がる
約3年ぶりの2ndフルアルバム。バンドの実像は謎に包まれたままだが、楽曲自体は確実に人に向かっている。
例えば、暗中模索の重苦しさを描いた1曲目『ヒガシズム』から続く『スターライト』や『もう一度』は、逆境から立ち上がろうと高らかに叫ぶ。閉塞感があったからこそ、前向きな言葉にも説得力がある。
また『雨男』では、報われぬ状況でも、雨が止むことより雨の中を走り続けることのつらさや大切さが身に染みる。秀逸なのはピアノや弦楽器の音色が美しく響くバラードの『ひろ』。この世にいない友に向かって、迷いながら生きることを凛として誓う歌声に、夭折した身近な友を思い出し、悲喜のどちらも生の証しだと実感した。
楽曲だけでも凄い熱量なのに、今回もブックレットには詞と詩を交互に載せ、さらに初回盤には小説も収録し、真剣に向き合わなければもったいないほど深遠な世界が広がる。本作により、たとえ悔しい状況でも独りじゃないと強く思えるはず。
(ソニー・CD+DVD初回限定盤3333円+税)=つのはず誠
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つのはず誠のプロフィル
つのはず・まこと 1968年生まれ。総合化学会社、音楽宣伝会社勤務を経て、T2U音楽研究所設立。音楽市場分析、コンピレーションCDの企画・選曲などを手がける。
(共同通信)
SMAR (2014-10-29)
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