「洋楽＝２」ピンク・フロイド『永遠（ＴＯＷＡ）』

２０年ぶり１５作目にして変わらぬポリシー

　アルバム『アニマルズ』のジャケットに使われロンドンの名所になっていたバタシー火力発電所が再開発されるという新聞記事を読んでいたところに新作の音が届きました。作品のベースは２０年前のアルバム『対（ＴＳＵＩ）』のセッションでの未発表曲に新しいレコーディングを加えたものですが完成度はまったくの新作といえます。

　ピンク・フロイドと言うとプログレッシブ＆サイケデリックロックの代表アーティストとして難解な音楽を演奏するグループに思われがちですが、ブルース・ミュージシャンの名前をグループ名にしただけあって基本的にはブルース・バンド、決して難しい音楽ではありません。
　当時シンセサイザーが流行し音をモジュレートしたサイケなサウンドがもてはやされましたが、彼らの音楽はシンセサイザーで作ったサウンド・キャンバスにリアルなギターやボーカルそして生音等を使って描いた色彩の絵画といえます。そのポリシーは今作でも変わっていません。
　（ソニーミュージック・ＣＤ／ＢＤ　ｂｏｘ６５００円＋税　ＣＤ／ＤＶＤ　ｂｏｘ５５００円＋税　通常盤２４００円＋税）＝北澤孝
（共同通信）
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北澤孝のプロフィル
　きたざわ・たかし　１９４７年、東京生まれ。小学生のころからダイナ・ショアなど洋楽を好み、大学時代はニューオリンズ・ジャズ・クラブに所属し、トラッド・ジャズを研究。その後レコード会社、音楽出版会社に勤務。携わったアーティストは、ポール・モーリアからボン・ジョヴィ、ブリトニー・スピアーズ、ＭＯＮＫＥＹ　ＭＡＪＩＫ、Ｓｕｐｅｒｆｌｙまで多岐にわたる。