政府議論「現実感ない」 集団的自衛権、紛争地支援者ら講演


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 沖縄弁護士会は30日、那覇市旭町のサザンプラザ海邦で集団的自衛権に関する講演会「集団的自衛権行使でどうなる?―海外からみた日本」を開いた。日本国際ボランティアセンターの谷山博史代表理事(56)と東京新聞の半田滋論説兼編集委員(59)が登壇し、集団的自衛権行使容認の矛盾や危険性を指摘した。

 谷山氏はアフガニスタンなど国外の紛争地で支援活動をした経験から、集団的自衛権をめぐる政府の議論について「紛争や戦争のリアリティー(現実感)が欠けている」と指摘した。
 海外で活動する日本の非政府組織(NGO)が攻撃された場合、集団的自衛権を行使して自衛隊が守ると首相が説明したことについて「軍との連携は危険性を高める。現地で培ってきた信頼を損なう」と批判した。その上で「NGOをだしにして、海外での武力行使は仕方ないと思わせる汚い手段だ」と強調した。
 半田氏は安倍首相が集団的自衛権行使の事例として戦中、米軍艦に日本の母子を避難させるため輸送される場合を挙げ、自衛隊が護衛するとしたことについて「本当にこういう事態が起こりうるのか」と批判した。その上で「首相は米国が日本人を輸送艦で退避させてくれることを前提で話している」と指摘。「戦争時に米軍艦で日本人が輸送された事例はこれまでにない」と強調した。
 14日投開票の衆院選については「自民党が勝てば、首相在任が残り4年だ。集団的自衛権だけでなく憲法改正に乗り出し、国の形が根本的に変えられる恐れがある」とした。

谷山 博史氏
半田 滋氏