MICE施設建設地 那覇市内再浮上で不透明に


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 最大収容2万人の大型MICE(企業の報奨旅行や国際会議など)施設建設地の選定が遅れている。外部識者らでつくる検討委員会の最終会合は6月に開かれたが、現段階で建設地を選定できず決定時期も見通せない。運用開始を2020年に設定している県は、豊見城市の豊崎地区と与那原町と西原町のマリンタウン地区に絞り込んでいる。だが、県政交代で那覇市の可能性が再浮上し、建設地決定は不透明感を増している。

 県は当初、7月末にも決める方針だったが、統一地方選や知事選などの影響で担当者と三役との調整が十分進まなかった。このため仲井真弘多知事の任期中の決定は先送りされた。
 県文化観光スポーツ部の湧川盛順部長は「具体的なことはそれぞれの候補地に影響を与えるから言えない」と述べ、知事選後も説明を避け続けている。
 県は20年運用開始の姿勢は依然として崩していない。20年の那覇空港の第2滑走路供用開始と東京五輪開催のタイミングを重視すると同時に、21年度まで毎年3千億円台の沖縄振興予算が確保できるとみているからだ。湧川部長は「いずれにしても早めに決めないと、20年(運用開始)は徐々に厳しくなる」と強調する。20年運用開始なら可能な建設地は限られる。
 一方、県内経済団体からは那覇市への誘致を期待する声が根強い。新市長に当選した城間幹子氏は那覇軍港の共同使用による大型MICEの建設誘致を公約に掲げている。前那覇市長翁長雄志氏の知事当選で、那覇市の可能性が再浮上している。
 報奨旅行などを企画するDMC沖縄の徳田博之社長は「20年は(沖縄観光にとって)確かに重要なターニングポイント(転機)だが、どこに造ったら一番稼働率が高くなるのかという視点が最も重要だ」と指摘した。施設の在り方について「利用者の視点をしっかり盛り込んで、施設からホテルなどまで移動しやすく、利用者が行きたくなるまちづくりも重要だ」と提言した。
 かりゆしの平良朝敬CEO(最高経営責任者)は「にぎわいのある場がないとMICEを誘致する上で難しい。会議だけの目的で来るのではなく、付随するものや、一緒にやって来るファミリー層がくつろげるための場所づくりが大事」と指摘した。
(呉俐君)