華やかに、多彩に 玉城秀子の会 節目飾る「花の舞台」


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 玉城秀子・玉城流二代目家元の襲名40周年記念公演「玉城秀子の会 花の舞台」(玉城流玉扇会主催)が5日、国立劇場おきなわであった。秀子や弟子ら66人の踊り手が出演。これまで創作した舞踊劇・歌舞劇を振り返りつつ、古典舞踊、雑踊も多彩に披露した。玉扇会らしい華やかな群舞、芝居心あふれる舞台で節目を飾った。

 玉城盛義三代目家元、東江裕吉ら男性舞踊家による勇壮な「獅子舞」「松竹梅鶴亀」(初代盛義作)で幕を開けた。古典女踊「稲まづん」では大田礼子、當山真澄ら女性舞踊家が息の合った演舞を見せた。
 秀子は照喜名朝一の独唱に合わせ、最初の独演会でも踊った「浜千鳥」をしなやかに舞う。盛義の「高平良万歳」はりりしい表情と勇ましい所作が観客の目を引きつけた。
 創作舞踊劇「花の石くびれ」抜粋(幸喜良秀作・演出、秀子振り付け、比嘉康春作詞・作曲・選曲)は2002年の襲名25周年記念公演でも披露された。宿命と闘いながらひたむきに生きる女を描いた作品。愛する里之子と引き裂かれた真鍋を演じる秀子のはかない表情が印象的だった。
 「日傘」は乙姫劇団の上間郁子団長を描いた「炎の女」からの抜粋。1991年の襲名15周年記念公演で披露された。秀子1人の舞いで始まり、金城順子ら29人の弟子も登場。にぎやかな音楽とともに日傘が咲き誇り、舞台を彩った。
 創作舞踊劇「浦島」(初代盛義作・振り付け、秀子・玉城靜江振り付け、幸喜良秀補足)の抜粋は盛義、与那嶺綾子ら中堅・若手が演じた。盛義が「浦島」を演じるのは初めてで、玉扇会の名作を継承した。
 靜江、米須千加子、嘉数紀美子、金城らによる「春の風」(秀子振り付け、又吉真栄作詞・作曲)は自然の移ろいと人の心の移ろいを重ね合わせ、柔らかな手踊りを舞った。
 最終演目の創作舞踊劇「花玉城」(三隅治雄作、照喜名朝一作詞・作曲、秀子・靜江振り付け)抜粋は若手やベテランが一堂に会し、命の喜びを表現した。パーランクーを打ち鳴らし、「汗水節」では観客から手拍子も送られた。最後は女性がジーンズ姿で踊る斬新でにぎやかな舞いで締めくくった。
 地謡は朝一のほか、照喜名進、照喜名朝國、上原睦三、宇保朝輝、安慶名久美子、比嘉聰、又吉真也。演出は幸喜良秀。(大城徹郎)

照喜名朝一の地謡に合わせ、しなやかに「浜千鳥」を舞う玉城秀子=5日、浦添市の国立劇場おきなわ
創作舞踊劇「浦島」を演じる玉城盛義(右)と与那嶺綾子。盛義が浦島を演じるのは今回が初めて=5日、浦添市の国立劇場おきなわ