県内9町村で国民審査、投票率1桁台


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 14日の衆院選と同時に実施された最高裁裁判官の国民審査で、県内9町村(大宜味村、東村、本部町、伊江村、渡名喜村、北大東村、伊平屋村、伊是名村、多良間村)で投票率が1桁台にとどまった。

同じ投票所で行われた衆院選の投票者数との差や、市町村間での投票率のばらつきが大きいことから、選挙管理委員会の投票事務に対する問題が指摘されている。
 国民審査の投票率1・52%と県内最低だった伊江村では、有権者3889人のうち投票したのは59人。衆院選小選挙区の投票率は56・7%で県平均を上回った。同選管は「小選挙区、比例区の次に国民審査の投票用紙を配布した。ただ『分からないから』と断る人や説明しても返す人が多かった」とする。
 金武町では12年の国民審査投票率は5・37%だったが今回は35・34%に上昇。同町選管は「比例の投票用紙と一緒に渡すと自然と受け取っている」と語った。
 琉球新報社には「投票用紙が渡されず、国民審査があること自体分からなかった」「希望者だけ配られた」などの問い合わせが相次いだ。
 県選管は「比例代表の投票用紙と一緒に渡すのが望ましいと総務省から指示があり、伝えている」とする。一方で禁じられている投票用紙の持ち帰りを防ぐことを目的に「投票したくない人は受け取らない」ように伝えることも指示している。市町村の選管によっては、同文言も含めた注意書きを投票所の入り口に掲示した所もあった。
 県憲法普及協議会の高良鉄美会長(琉球大法科大学院教授)は「司法に対しても物申す主権者像を憲法は求めている」と国民審査の意義を強調。「選挙の投票率を上げるのは一生懸命だが、国民審査は棄権を是認するような案内をしている。投票を管理する側の認識も問われている」と指摘した。