「隠れた名盤」森山直太朗『黄金の心』


社会
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やはり真骨頂はアルバム

 通算11作目。芸人並みのトークや、『どこもかしこも駐車場』や『うんこ』の歌詞など、近年は面白さが先行しがちだが、やはり彼の真骨頂はアルバムだ。

 ドラマ主題歌でカバー曲の『若者たち』で幕開けするためか、ここ数作よりも真面目さが光る。傷ついた相手をいたわる『運命の人』や、じっくり生きることを決めた『黄金の心』など穏やかな楽曲は、悩みを溶かすようだ。
 それでもやはりユニークな楽曲も聞けると安心できる。特に、『することないから』は「することないからセックスしよう」「戦争しよう」と相手に持ちかけるのだが、“子供が生まれたら仕事をするよ”や“勝って豊かになれば平和にするよ”といった言い分は、“俺は本気出してないだけ”という風潮や、先送り気味のエネルギー問題にも言及しているように思えた。つまり、より本質に迫るために敢えて面白がられる言葉を糸口としている気がしたのだ。
 本作を聞けばオヤジギャグさえも、意思疎通のためかと微笑ましく思えるはず。
 (ユニバーサル・3000円+税)=つのはず誠
(共同通信)
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つのはず誠のプロフィル
 つのはず・まこと 1968年生まれ。総合化学会社、音楽宣伝会社勤務を経て、T2U音楽研究所設立。音楽市場分析、コンピレーションCDの企画・選曲などを手がける。

黄金の心
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