熱い歌心で女性アーティストのカバー
自身初のカバーアルバム。近年、TVで気前よく何でも歌う様子は、シックなR&BでWミリオンを飛ばしていたデュオ時代とは程遠いが、歌心はむしろ今の方が熱い気がした。
全11曲、女性アーティストのカバーで統一されているが、徳永英明が“ただ声を乗せるだけ”に徹するのとは対照的に、彼は節々にまで感情をこめているのが印象的。特に、弦楽四重奏で歌う『三日月』やピアノ1本で歌う『やさしいキスをして』など澄んだ演奏の中で、切なさや狂おしさをむき出しにする点は、普段強気な男の内面を見るようだ。『リフレインが叫んでる』も武部聡志による力強い編曲の中での熱唱が男の不器用さを思わせる。やはり、この人は「歌手」だとあらためて感心した。
初回Aには『きよしこのよる』、初回Bには『糸』を追加収録し、その代わり通常盤の『心の友』を削るなんて勿体ないほど3曲とも胸にしみる。
ともあれ、本作を聞けば、何事も上達するにはまず基礎を磨かねばと実践したくなるはず。
(ソニー・通常盤3000円+税、初回限定盤A6500円+税、初回限定盤B3500円+税)=つのはず誠
(共同通信)
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つのはず誠のプロフィル
つのはず・まこと 1968年生まれ。総合化学会社、音楽宣伝会社勤務を経て、T2U音楽研究所設立。音楽市場分析、コンピレーションCDの企画・選曲などを手がける。
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