うるま市中学校いじめ問題 学校が自治会に説明


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いじめ発覚につながった匿名の手紙。「イジメられている子ども達は上級生がこわくて親にも言えないでいるそうです」と書かれている=うるま市内

 【うるま】うるま市内の中学校で発生し、民事訴訟となったいじめ問題で、新聞で問題が報道された直後に、校長が被害・加害生徒や保護者など当事者の了承を得ずに、地域の自治会関係者にいじめの内容などを説明していたことが分かった。

被害生徒の保護者は「報道は学校名も出さず、子どもと話し合った上で掲載を了承した。だが、校長は被害生徒、加害生徒の保護者の承諾もなしに、問題を直接関係のない地域の人に対し、詳細を話している。被害、加害生徒の保護を考えておらず、一方的な説明だ」と校長の行為を問題視している。
 校長は本紙の取材に対し、これまでの報道は「間違っている。憤慨している」と話した。だが、裁判を前に詳しい事実確認には「応じられない」との対応を示している。
 いじめは昨年9月に匿名の手紙が学校に届いたことで発覚した。6月から約3カ月続いていたとみられる。問題が報道されたのはことし9月だ。発覚後、一部の加害生徒は転校の措置が取られたが、一部は現在も被害生徒と同じ学校に通っている。
 自治会関係者によると問題が報道された直後、校長は自治会関係者を学校に呼ぶなどして、いじめの内容や、被害生徒が登校を続けていることを説明した。ある自治会長は説明があった後、本紙に対し「(被害生徒が)元気に学校に行っているんでしょう。そっとした方がいい」と話していた。
 被害にあった生徒の保護者は、現在も精神的な苦痛から家族に身体的な影響が出ているといい「家族や校長以外の教員の支援で、ギリギリの状態で学校に行けている」と、校長の認識に異議を唱えた。
 これまで問題の対応を相談した関係者が秘匿義務を守っておらず、地域に相談内容が漏れていることも伝わっている。保護者は「狭い地域で、回りを囲まれていくようで苦しい」と強い不安を口にする。
 保護者はことし5月中旬から「いじめ問題」について署名活動を行い、(1)被害者の保護者への速やかな連絡(2)謝罪を止めた学校側の対応の改め(3)被害生徒への誠意ある事後ケア(4)再発防止―の必要性を訴えている。現在までに約3200筆が集まった。保護者は「学校や市はいじめを隠す方向に動いているようにしか見えない。大人が見て見ぬふりをしてはいけない」と話し、適切な対応を求めている。