宮古島市議の市工事受注問題 「兼業禁止」焦点に


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質問する仲間頼信氏に反論する西里芳明市議=15日、宮古島市議会議場

 【宮古島】宮古島市議会経済工務委員長の西里芳明市議が取締役、および経営業務の管理責任者(経管)を務める市内の建設会社が、市から公共工事を受けていたことが波紋を広げている。議員の兼業を禁じる地方自治法や、経管の常勤を求める建設業法に抵触する可能性もあるとし、議会は西里氏の議員資格を審査する特別委員会を設置した。議論の焦点を探る。

 西里氏が取締役を務めるのは、市議の妻が社長を務める会社。以前は西里氏本人が社長だった。
 市によると同社が市発注工事を受けたのは2012、13年度の2年間で、農場整備や農道舗装など3件。計6回の契約変更(増額)も含め総額約2億4千万円に上る。
 焦点の一つはこれが地方自治法92条の2が定める、議会議員が、主として当該地方自治体に対し請負をする法人の取締役になってはならないなどとする「兼業の禁止」にあたるかどうかだ。
 一般質問で問題を取り上げた仲間頼信市議は「公共事業などの予算を審議し、議決するのは市議会議員。その議員が市発注工事を請け負うのはおかしい」と指摘した。
 西里氏は、取締役や経管になっていることを認めた上で「公共工事を受けることは問題ないと認識していた。だが、議員でありながら取締役でいることが兼業につながるなら、特別委員会の判断に従う」と述べた。
 議員研修に長年携わり、「地方議会議員ハンドブック」などの著書がある明治大公共政策大学院の廣瀬和彦講師によると、判例では議員が役員を務める法人の売り上げに占める当該自治体発注工事の割合が50%を超える場合、兼業禁止に抵触する(1987年、最高裁判決)とした一方、売り上げの33%未満の場合は兼業禁止に抵触しない(83年、札幌高裁判決)と解釈されている。
 その間の範囲については「業務量など、個別の事例に合わせて各議会が考える必要がある」とした。その上で廣瀬氏は、一般論として「地方議員は住民の代表として中立・公正の立場から、当該自治体との請負は住民から誤解を受けないよう、謹んで行動する必要がある」と指摘した。
 仲間氏によると、問題を一般質問で取り上げるにあたり、市幹部や市政与党から、質問の取り下げや、特別委立ち上げの前段となる「資格決定要求書」を提出しないよう求める動きもあった。
 政治家とカネの関わりは市民も高い関心を寄せる案件だ。開かれた場で事実に基づいた冷静な議論と判断が求められる。