戦争遺品を記録、保存 沖大地域研とガマフヤー 継承へ育成


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 沖縄大学地域研究所(那覇市、田里修所長)が沖縄戦の遺品を記録・保存するデジタルアーカイブ作りに取り組んでいる。同研究所地域共創センター副所長の須藤義人・人文学部准教授と沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」(具志堅隆松代表)との共同研究。

沖縄戦の激戦地だった那覇市真嘉比で収集された銃弾や兵隊の衣類の一部、鉄かぶとなど遺品を写真に納め、発見日時や場所の状況を記した文字情報とともに冊子にまとめる。同大の学生が専門演習(ゼミ)の一環で作業に関わっており、沖縄戦継承に向けた後継者育成の取り組みとしても注目されそうだ。
 24日のゼミでは学生たちが、2009年10月に那覇市真嘉比で収集された万年筆や弾薬入れ、水筒などの遺品の写真撮影作業に取り組んだ。ゼミ生の謝花郁弥(ふみや)さん(21)は「自分たちが作業に協力することで、少しでも遺族の役に立てればと思う」と話した。
 具志堅さんは「戦争体験者が減る中、物や現場に沖縄戦を語らせることが重要だ。現場を読み解くことができる人材育成が必要だ」と事業の意義を強調した。
 アーカイブ作りは「沖縄戦死者の70年の痕跡の記録方法の確立プロジェクト」で、県対米請求権事業協会・地域振興研究助成事業の助成を受けている。収集した遺品はアーカイブス化を経て那覇市に平和学習用の教材として寄贈し、来年6月には一般向けの書籍として販売も予定している。