「ついにこれで終わり」の雰囲気が漂う
約7年間の活動期間をもって解散した男性3人組ロックバンドが、2014年10月15日に日本武道館で行った最後のライブを収録している。このライブは本来、その1年前の2013年9月24日に『andymori ラストライブ 武道館』として行われるはずだったが、ボーカル小山田壮平の突然の怪我のために中止されていた。
それだけに、冒頭から「ついにこれで終わり」というような刹那的ともいえる雰囲気が漂っている。
会場のステージ上にはベース、ギター兼ボーカル、ドラムの3人だけで、装飾や特別な演出もない。元気そうに見える小山田はすっきりとした表情で、解散の理由などは語らず、「ありがとう」という言葉だけを何度も繰り返しながら、軽やかなテンポと独特の歌詞の楽曲を淡々と歌っていく。これまで発表してきた41曲を、まるでメドレーのように矢継ぎ早に歌いきって、まだ若い3人はステージから去っていった。
2010年のアルバム『ファンファーレと熱狂』が「第3回CDショップ大賞」の大賞を受賞したとき、本欄では、準大賞だったSEKAI NO OWARIを取り上げた。その2つのバンドの未来がこうなるとは…。息の長い活動を続けるバンドもいれば、いい曲だけを残していくバンドもいるが、「次回」のないライブはやはり悲しい。
(Youth Records・5000円+税)=小西樹里
(共同通信)
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小西樹里のプロフィ
こにし・じゅり 1977年生まれ。米東海岸で高校・大学時代を過ごす。雑誌編集を経て、2006年よりフリー。音楽、本、映画、演劇、写真、ラジオなど文化系を守備範囲とする一方、国際政治論/動静ウオッチャーでもある。
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