43年ぶり「沖縄戦」県史 継承へ、新証言など記録


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新県史の今後の編集について意見を交わす新沖縄県史編集委員会の委員ら=1月30日、南風原町新川の県公文書館

 新沖縄県史編集委員会(吉浜忍会長)は2017年2月に、沖縄戦について新しくまとめた「県史各論編6『沖縄戦』」を発刊する計画だ。沖縄戦関係を県史として発刊するのは1974年以来43年ぶりとなる。

約半世紀の間に新しく発見された資料からひもといた歴史研究の成果や、各地域で新たに得られた証言などを盛り込み、県としての「公式な歴史」を記録する。また沖縄戦と戦後の沖縄を関連付け、米軍基地建設、遺骨収集、戦争記憶の継承、教科書問題などに初めて踏み込んで記載する。
 「県史各論編6『沖縄戦』」は大別して(1)「沖縄戦への道」(2)「沖縄戦の経過と特徴」(3)「沖縄戦(人びと)の体験」(4)「沖縄戦の諸相」(5)「沖縄戦の戦後処理と記憶・継承」―からなる。研究者や各地域の史誌担当者など39人で執筆する。全620ページを予定している。71、74年にそれぞれ刊行された沖縄戦編は、戦争体験者からの戦時中の出来事を聞き取った内容が中心だった。
 吉浜会長は「沖縄の人にとって沖縄戦は過去のものではないという視点が必要だ」と述べ「沖縄戦が残したもの」を現在に引きつけて考える。
 現行計画によると、新沖縄県史の全体の構成は、各論編が「自然環境」「文学」など17編、図説編が「前近代」「近現代」など5編、資料編が「女性史新聞集成」など25編が主となる。刊行計画は1993年から2037年まで。新県史のうち各論編「古琉球」「近代」など一部はすでに発刊されている。「県史各論編6『沖縄戦』」の編集は08年から17年までの「第2次刊行計画」で取り組んでいる。
 年に1度の新沖縄県史編集委員会が1月30日、南風原町新川の県公文書館で開かれ、本年度の作業報告や「第3次刊行計画」(18~27年)の方針を話し合った。19年以降2年ごとに「民俗」「現代」「言語」などの各論編を発行する方針を確認した。委員委嘱状交付式も同日行われ、諸見里明県教育長から15人の委員に委嘱状が手渡された。委員の任期は2年。