イワスナギンチャク120年ぶり発見 琉大チーム、新種2種


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 琉球大学理学部海洋自然学科のジェイムズ・ライマー准教授(41)、伊礼由佳さん(28)=2012年琉大博士前期終了、現米イリノイ大技術補佐員=らの研究チームがこのほど、琉球列島沿岸でイワスナギンチャクの新種2種を発見した。

 新種は体内に褐虫藻(共生性の微細藻類)を持っていないのが特徴で、ライマー准教授によると、褐虫藻を持たないイワスナギンチャクは、1891年にオーストラリアのグレートバリアリーフで発見されたという記録が残っているだけで、今回の発見は約120年ぶり。ライマー准教授は「沖縄の海の生物多様性を示す発見だ」と意義を語った。同研究成果は1月28日発行の国際学術誌「Zookeys」に掲載された。

 2008年に嘉手納町水釜と西表島沿岸で採取したイワスナギンチャクのDNA解析を進め、新種だと特定。触手が白黒のしま模様のものを「シマテヤミイワスナギンチャク」、白色のものを「シロテヤミイワスナギンチャク」と名付けた。

 一般的なイワスナギンチャクは、サンゴ礁域に生息し、褐虫藻による光合成でエネルギーを得るが、今回発見された2種は褐虫藻を持たず、洞窟やリーフのくぼみなど薄暗い環境にいる。光合成はせず、プランクトン摂取によってエネルギーを得ていると考えられる。プランクトンを取りやすくするためか、通常のイワスナギンチャクよりも触手が長いのも特徴だ。

 シマテヤミ―は沖縄本島、渡嘉敷島、八重山諸島、台湾、ニューカレドニアなど幅広い地域で確認された一方、シロテヤミ―は、八重山諸島と台湾のみで生息が確認された。シマテヤミ―の学名には、採取地の水釜を意味する「ミジガマ」も入れた。

シマテヤミイワスナギンチャク
シロテヤミイワスナギンチャク