海兵隊幹部、安保検証の研究所批判 「不協和音の一味」


社会
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在日米軍施設・区域面積

 在沖米海兵隊のロバート・エルドリッジ政務外交部次長が、米軍普天間飛行場の辺野古移設を強行する日米両政府の安全保障政策などについて検証するシンクタンク「新外交イニシアティブ(ND)」について「沖縄をめぐる雑音に新たな不協和音の一味が現れた」と批判する書き込みをインターネット上で行っていたことが分かった。さらに日本政府や県が客観的統計で示している「74%」という在日米軍専用施設の沖縄への集中の割合について「実際はほとんどわずかだ」という「ネット右翼」と呼ばれる市民らが繰り返している主張を書き込んでいた。

 英字紙「ジャパンタイムズ」のジョン・ミッチェル記者が1月5日付で報じたNDの紹介記事に対し電子版のコメント欄に投稿した。
 NDは事務局長の猿田佐世弁護士が2013年に設立。日米関係に詳しい米ジョージワシントン大学のマイク・モチヅキ教授や元官房副長官補の柳澤協二氏、ジャーナリストの鳥越俊太郎氏らが理事を務め、普天間飛行場移設問題などをめぐり日米両政府が発信する海兵隊の抑止力などについて疑問を呈している。
 エルドリッジ氏は「理事らの沖縄問題に対する立場は過去何十年にわたって変わっていない」と指摘したが、柳澤氏は辺野古移設を推進する自民党政権で安全保障政策を担当。退官後の10年ごろから政治的立場を変え、辺野古移設計画を批判し始めている。
 さらに沖縄に米軍専用施設の約70%が集中していると指摘したジャパンタイムズの記事に「ほとんど全ての施設が公式にも非公式にも自衛隊や地域住民らと共同使用されており、割合は取るに足りないものだ」と批判した。だが防衛省がまとめた15年1月現在の在日米軍専用施設の統計では沖縄の割合が73・92%で依然として突出している。米軍が一時使用できる国内の自衛隊基地を全て含めた場合の割合は22・6%になるが、米軍の使用頻度の少ない東富士演習場(静岡)なども含まれている。