島田歌穂『マイ・グラティテュード　オール・タイム・ベスト』

「隠れた名盤」　芸能生活４０周年記念は多彩な２枚組
　『がんばれ！！ロボコン』以来、芸能生活４０周年を記念した２枚組。監修は丁寧さが光る浜田高志氏が担当。

　なかにし礼プロデュースのアイドル時代からほぼ年代順に３４曲を収録。前半のハイライトは、やはり１９９０年代前半のドラマ『ＨＯＴＥＬ』の主題歌となった壮大な洋楽カバーだが、直前までの無名曲も良い。ミュージカル『レ・ミゼラブル』で体得したであろうクリーミーな歌声が、凛としつつ憂いや優しさも感じさせるからだ。
　さらに絶品なのは後半で、伴侶・島健とのコラボ作は、まるで水を得た魚のように声が弾んでいて、「声」という最高の楽器を持っていることを再認識。ミュージカルの英語歌唱も完璧だが、谷山浩子作の『一枚の写真』にて、子どもたちと穏やかに歌う様子が新鮮で心が洗われた。
　ラストに『春～ＨＡＲＵ～』のＬＩＶＥ版を収録し、拍手喝采と自己紹介で終わる演出も粋。一人の履歴とは思えぬほど多彩な本作を聞けば、誰もが長く生きたいと願うはず。
　（キング・３２４１円＋税）＝つのはず誠
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つのはず誠のプロフィル
　つのはず・まこと　１９６８年生まれ。総合化学会社、音楽宣伝会社勤務を経て、Ｔ２Ｕ音楽研究所設立。音楽市場分析、コンピレーションＣＤの企画・選曲などを手がける。
(共同通信)