ｆｕｍｉｋａ『ＰＯＷＥＲ　ＯＦ　ＶＯＩＣＥ』

「ブレーク盤」　“声の力”が届くようになった女性シンガーの２ｎｄアルバム
　１９８９年福岡市出身の女性シンガーの２ｎｄアルバム。配信系オーディションでのグランプリ受賞や多数のタイアップ獲得など、話題が先行していたが、地元で地に足の着いた人気が出てきた。

　全１２曲中、ｍｉｗａのような抜けの良い高音も、Ｓｕｐｅｒｆｌｙのような力強い中低音も出せて、アゲハスプリングスらしいダンスポップスの『Ｍｏｍｅｎｔ』から、ピアノ・バラードの『たいせつな光』まで、軽々と歌いこなせる。デビュー当初は、模範的な上手さからかサラリとしていたが、本作では「もう一度立ち上がれ　何度でも」と励ます『ドアの向こうへ』や、「咲かせよう　咲き誇れ　咲かせるよ」と愛を誓う『Ｅｎｄｌｅｓｓ　Ｒｏａｄ』など、夢が結実しそうな場面を歌う際、以前より“声の力”が届くようになった。時間がかかったとしても、今後楽しみな存在だ。
　大半の楽曲を彼女と共作している田中秀典の貢献も大きい。本作から、成功までの時間にも意味があると思えるはず。
　（よしもとアール・アンド・シー・２７７８円＋税）＝つのはず誠
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つのはず誠のプロフィル
　つのはず・まこと　１９６８年生まれ。総合化学会社、音楽宣伝会社勤務を経て、Ｔ２Ｕ音楽研究所設立。音楽市場分析、コンピレーションＣＤの企画・選曲などを手がける。
(共同通信)