シナトラの曲がボブ・ディランの歌になる
ロック一筋で名を上げたアーティストが本当に好きな曲が必ずしもロックンロールとはかぎりません。誰にも心に秘めた歌があるからです。ディランの3年ぶり、通算36作目の新作は全て一発録音のカバーアルバム。そしてカバーされた10曲はなんとフランク・シナトラが歌ったナンバー。
シナトラは今年生誕100周年を迎えますが、そのようなコメントは一切せずディランは次のように語っています「これらの曲はもう十分カバーされすぎて本質が埋もれてしまった。私のやっているのはそのカバーをはずす作業だ。本質を墓場から掘り起こして、陽の光をあてたのだ」。ディランの言う本質こそ彼の“心の歌”という意味でしょう。
ディランがティーンだった1950年代はシナトラの全盛期、当時の音楽スタイルを一新したフランキーことシナトラにディランが夢中になっても不思議ではありません。アルバムの1曲目を飾る『アイム・ア・フール・トゥ・ウォント・ユー』は彼が10歳、51年の作品です。
(ソニーミュージック・2400円+税)=北澤孝
(共同通信)
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北澤孝のプロフィル
きたざわ・たかし 1947年、東京生まれ。小学生のころからダイナ・ショアなど洋楽を好み、大学時代はニューオリンズ・ジャズ・クラブに所属し、トラッド・ジャズを研究。その後レコード会社、音楽出版会社に勤務。携わったアーティストは、ポール・モーリアからボン・ジョヴィ、ブリトニー・スピアーズ、MONKEY MAJIK、Superflyまで多岐にわたる。
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