県内初記録の「ガ」撮影 研究者の宮城さん


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県内で初めて確認された「タツナミトリバ」=2014年2月17日、東村高江で撮影(宮城秋乃さん提供)

 【東】北部訓練場内でヘリコプター着陸帯の建設が進む東村高江の新川川(あらかわがわ)沿いで、県内各地の森林性のチョウを研究する日本鱗翅学会自然保護委員の宮城秋乃さんが昨年2月に撮影したガが、県内初記録の「タツナミトリバ」であることが分かった。

高江区では、宮城さんの調査により新種のカニムシや県初記録のゴミムシなどの発見が相次いでいる。
 やんばるの豊かな生物多様性が年々、裏付けられていることに、宮城さんは「高江の自然にはまだ知らない生態系の知見が隠れている」と述べ、着陸帯の建設に警鐘を鳴らしている。
 タツナミトリバはトリバガ科のガで、国内では九州や本州、国外では中国やインドなどに分布する。体長は1センチで、タツナミソウを食草としている。宮城さんが昨年2月に個体1頭を撮影した。その後、トリバガに詳しい豊田市矢作研究所所属の間野隆裕氏が同定した。
 2011年から続ける調査で新種や希少種、県初記録の発見が相次ぐことに、宮城さんは「これだけ新発見が見つかるのは珍しい。今後も調査を続ければ、ヘリパッド建設によって昆虫や植物、動物などの新知見が埋もれる可能性があることが証明される」と語った。
 宮城さんの調査研究記録は、5日から恩納村博物館2階で始まる写真展「高江の森の小さな命」で紹介された。7日には絶滅危惧種や希少種の生態系を映像で説明する関連講座も開かれる。写真展は4月12日まで。