「再ブレーク盤」城之内早苗『空港物語』

ヒットコンビによる３０周年記念作

　デビュー３０周年記念作。２曲とも作詞：荒木とよひさ、作曲：三木たかしというヒットコンビの未発表作だ。

　表題曲は、昭和時代にアイドルが歌っていたとしても違和感がないほどアップテンポの楽曲に、最終便で北へ旅立つ女性という演歌界定番の情景を重ねた歌謡曲。コブシを抑えた分、メリハリをつけた歌唱で、弦楽器の上品な音色も相まって、よりドラマチックに。明快かつキャッチーで、つい口ずさみたくなるほど。
　カップリングの『砂のしゃぼん玉』は、その主人公が、旅立つ前に２人で暮らした部屋でつづったようなバラード。別れがテーマなのに、城之内の人柄や丁寧な歌い方からか、相手への感謝など穏やかさが目立ち、同コンビが同じ状況を描いたテレサ・テン『つぐない』ほどの悲壮感はない。
　ソロ名義のシングルは２４作で、これはおニャン子クラブ出身者中ではかなり上位だ。元アイドルは実力の劣りを愛嬌で免除されがちだが、本作からは現役であり続けることの凄さを感じ取れるはず。
　（テイチク・１１４３円＋税）＝つのはず誠
（共同通信）
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つのはず誠のプロフィル
　つのはず・まこと　１９６８年生まれ。総合化学会社、音楽宣伝会社勤務を経て、Ｔ２Ｕ音楽研究所設立。音楽市場分析、コンピレーションＣＤの企画・選曲などを手がける。