渡嘉敷の海「生物の宝庫」 東京海洋大、保護の必要性強調


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 【渡嘉敷】東京海洋大学海洋水産生物研究会の学生らが2月25日から3月17日までの21日間、渡嘉敷村の青少年交流の家キャンプ場(渡嘉志久ビーチ内)で自炊生活、長期合宿をしながら、同ビーチ内の水中生物の生態系や分布変化を把握するなどの調査研究を実施した。

 同研究会の渡嘉敷合宿は34年間継続している。今回は同海洋科学部にある自然科学系サークル1、2年生の男女21人(上野陽会長)がシュノーケリングでビーチ内の海中生物の研究活動を行った。最終日は同キャンプ場研修室で関係者を招き研究発表会を開いた。毎回、研究報告書を作成し同村や関係機関などに配布している。
 調査活動は(1)サンゴの生息状況と成長率(2)海藻類分布(3)サンゴカニ類の生息状況(4)渡嘉志久湾における水産生物研究会内での魚類目録の更新(5)ヒトデ&クモヒトデ―など6項目で研究分野ごとに担当を割り振りして調査した。
 発表会では調査項目ごとに6人の代表が研究結果を報告した。
 今回、クモヒトデの仲間やシマミドリハゼなど数種類を初確認したほか、8種類のイソハゼも確認した。アオヒトデは乱獲販売される恐れがあるので保護の必要性を強調した。サンゴ群は昨年より成長している。ビーチ内のアオウミガメが紅藻などを食料にしていることやコウイカ類の卵が転石帯の岩下で確認されたことなどが報告された。
 上野会長は「同ビーチは毎年新規記載種が確認されており、未発見生物も多いと思われる。渡嘉敷の海は生物の宝庫。来年の調査に期待する」と島の海の魅力を強調した。
(米田英明通信員)

研究結果を発表する学生=16日、渡嘉敷村渡嘉志久ビーチ内の青少年交流の家海洋研修場
34年間継続して渡嘉志久ビーチの海の生物を研究調査している東京海洋大学の1、2年生