「洋楽＝１」マドンナ『レベル・ハート』

反逆精神をタイトルにした理由

　マドンナ３年ぶり１３枚目の新作です。歌手、作曲家、ダンサー、女優、映画監督、あらゆる表現芸術をエネルギッシュに成し遂げてきた彼女が今回も“絶対女王”ぶりを示してくれました。

　デビュー当時それまで“絶対女王”であったマリリン・モンローの後継者といわれた彼女ですが、それ以来ポスト・マドンナはいまだ出現していません。アーティストとしての技量は言うまでもなく表現者としてのメッセージが他を圧倒しているからです。レディー・ガガもマドンナ的ではありますが恵まれた環境から生まれたガガに対して社会の底辺から這い上がってきた彼女とは社会に対峙する姿勢が違います。
　アーティストへの抑圧に対する抗議を表したアートワークをはじめ、ダンサブルなチューンでは彼女の反抗的、挑戦的な面、アコースティックなミディアム・チューンでは壊れそうでロマンティックな面をメッセージにしています。卓越したサウンド、曲の良さの両面で傑作と言えましょう。
　（ユニバーサル・１ＣＤ２４５０円＋税・２ＣＤスーパー・デラックス盤３５００円＋税）＝北澤孝
（共同通信）
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北澤孝のプロフィル
　きたざわ・たかし　１９４７年、東京生まれ。小学生のころからダイナ・ショアなど洋楽を好み、大学時代はニューオリンズ・ジャズ・クラブに所属し、トラッド・ジャズを研究。その後レコード会社、音楽出版会社に勤務。携わったアーティストは、ポール・モーリアからボン・ジョヴィ、ブリトニー・スピアーズ、ＭＯＮＫＥＹ　ＭＡＪＩＫ、Ｓｕｐｅｒｆｌｙまで多岐にわたる。