糸満、古豪の壁厚く センバツ第5日、糸満―天理


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糸満―天理 粘り強い投球を見せた糸満の先発・金城乃亜=25日、甲子園(普久原裕南撮影)

 第87回選抜高校野球大会第5日は25日、甲子園球場で1回戦3試合が行われ、82年ぶりに出場した21世紀枠の松山東(愛媛)のほか、高崎健康福祉大高崎(群馬)天理(奈良)が2回戦に進出した。

糸満は天理に2―7で敗れた。天理は四回に前久保の適時三塁打で勝ち越すと、七回には坂口の左中間への2点本塁打で突き放した。糸満は太田の適時二塁打などで2点を奪ったが、打線が6安打に封じられた。松山東は5―4で二松学舎大付(東京)に競り勝ち、春初勝利を挙げた。四回に2点を先制し、六回は亀岡の2点二塁打で加点。同点とされた直後の七回には酒井の適時打で決勝点を奪った。高崎健康福祉大高崎は9―1で宇部鴻城を破った。序盤から着実に点を重ね、先発の川井は11三振を奪って完投した。

◆エース金城 痛恨の被弾/打線も1本が出ず
 打たれた瞬間、それと分かる打球が左中間スタンドへと吸い込まれていった。
 七回2死三塁。糸満のエース金城乃亜が、プロ注目の4番打者に直球勝負を挑んだ85球目だった。試合を決定付ける2点本塁打を浴びた金城は「少し冷静さを失っていた。勝負しなくてもよかった」と悔やんだ。
 中盤までは「1点を取られたら1点を取り返すような接戦で食らいつく」と上原忠監督が理想とした展開だった。三回に先制された直後に追い付き、金城は低めを突く丁寧な投球で1イニングを最少失点でしのぎ続けた。だが、近畿大会を全試合2桁安打で制した分厚い攻撃を前に力尽きた。
 打線もエースを援護できなかった。先頭打者の出塁は二回と四回の2度だけ。狙い球を絞りきれず、アウト27のうちゴロアウトは13を数えた。出場選手中トップの打率を誇った3番大城龍生もこの日は無安打。「最初の打席で打てなくて焦った。冷静に打席に入れなかった」と言う。自慢の機動力も、塁に出なくては発揮できない。上原監督は「打撃力で劣った。力強く洗練された攻撃のできるチームをつくっていきたい」と課題を見据えた。
 初めて甲子園に出場した2011年夏と同じ1回戦敗退。「甲子園で校歌を―」。合言葉にしてきた夢はかなわなかった。「有名なユニホーム相手に堂々と頑張ったことは大きな経験」と指揮官は言う。花冷えの甲子園で得た悔しさと自信は、きっと夏への糧になる。(大城周子)

◆打撃で劣った/上原忠監督(糸満)の話
 金城乃は合格だと思う。本塁打で試合が向こうにいったので、あれだけが失投だった。中盤まではいい流れで、このまま接戦に持ち込めば勝機はあると思っていた。打撃で劣った。夏に向けて機動力はいったんおいておき、力強い打撃を身に付けたい。