勇気が湧いてくるメジャーデビュー作
TVのオーディション番組でグランプリを受賞した青森県南津軽郡生まれの女性のメジャーデビュー作。その堂々たる歌唱から、絢香やMISIAの10代の頃を思い出した。
全7曲中6曲がカバーで、楽曲ごとに変える多彩な声に感心する。もとの声質が似ている平原綾香の『カンパニュラの恋』は想定内の上手さだが、坂本九の『上を向いて歩こう』や19の『あの紙ヒコーキ くもり空わって』など、男性曲で清々しく歌い上げる様子は、まるで少年のようで、聞いていると勇気が湧いてくる。
圧巻は、決勝でも歌った爆風スランプの『大きな玉ねぎの下で』。澄んだ声で静かに歌う前半から、ジャケットのように力強く歌い上げる後半は、スタンディングオベーションが目に浮かぶほど。
オリジナル曲『改札口』は自身へのエールソングだが、あえて抑えて歌うことで、確かな決意が伝わってきて、これも味わい深い。誰かが反応してくれるからこそ、自分が生かされているということを、本作から気づくはず。
(ビクター・1852円+税)=つのはず誠
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つのはず誠のプロフィル
つのはず・まこと 1968年生まれ。総合化学会社、音楽宣伝会社勤務を経て、T2U音楽研究所設立。音楽市場分析、コンピレーションCDの企画・選曲などを手がける。
(共同通信)
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