辺野古サンゴ、破壊89群体許可外


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埋め立て予定区域(岩礁破砕許可区域)

 【東京】米軍普天間飛行場の辺野古移設計画をめぐり、沖縄防衛局が2月に実施した調査でサンゴの破壊が見つかっていた問題で、破壊された94群体のサンゴのうち9割超の89群体は県が岩礁破砕を許可した区域の外だったことが10日、分かった。

 防衛局は「サンゴ礁にまで発達していないサンゴ類の損傷で、沖縄県の規制対象とならない」と主張している。
 翁長知事は県の調査で許可区域外のサンゴ礁1カ所が破壊されているのを確認したとして、臨時制限区域内の調査をするまで作業の一時停止を指示した。今回新たに許可区域外で多数のサンゴ破壊が判明したことで、岩礁破砕許可の取り消しも視野に対抗策の検討を進めている知事の判断にも大きな影響を与えそうだ。
 防衛局は取材に対し「サンゴ類の損傷や摩耗痕などの、何らかの影響が確認された94群体のうち、岩礁破砕などに係る許可の区域内のものは5群体だ」と回答し、大部分が岩礁破砕許可区域外だったことを明らかにした。許可区域外の外側には立ち入りを制限する臨時制限区域が設けられている。県は制限区域の外側を調査し、サンゴ破壊を1カ所だけ確認しており、今回判明した89群体の破壊は許可区域外で制限区域内の海域とみられる。
 沖縄防衛局は2月に浮標灯(ブイ)を設置するためのコンクリートブロックが設置された周辺の75カ所で、サンゴ破壊の有無を調査した。9日に都内で開かれた移設に向けた環境保全策を検討する環境等監視委員会で調査結果を報告した。
 一方、県は臨時制限区域外に加え、区域内の調査を実施するために米側に立ち入りを求めた。しかし米側が拒否したため、調査は実現していない。(池田哲平)