ヘリパッド初の争点へ 東村長選21日告示


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 26日投開票の東村長選はいずれも無所属で、3期目を目指す現職の伊集盛久氏(74)、元東村役場職員で新人の當山全伸氏(66)の2氏が出馬表明し、21日の告示に向け前哨戦に入った。米軍北部訓練場の一部返還に伴うヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)移設工事について、2氏は容認、反対の姿勢を明確に示し、村長選で初めて争点となる見込みとなった。

 「SACO(日米特別行動委員会)合意で決まっている」。1月に出馬表明した伊集氏はヘリパッド建設の「容認」を明言。これまでの考えを堅持した。容認姿勢を示しながら、伊集氏は村議会一般質問で、今後新設予定のG地区ヘリパッド工事車両の集落内通行について「阻止する」と答弁。米軍への先行提供が決まったヘリパッド2カ所については高江の区長と共に沖縄防衛局を訪れ、集落内上空を飛ばないよう要請するなど、住民への配慮を求める姿を見せている。
 「北部訓練場の閉鎖と返還を求め、安全な水資源の確保に努める」。3月23日に出馬会見を開いた當山氏はヘリパッド移設反対よりも踏み込み、訓練場の返還を掲げた。背景には訓練場に隣接する県民の水がめ「福地ダム」などでの米軍機事故の懸念、やんばるの森が世界自然遺産の候補地になっていることがある。「ヘリパッド建設を止めて終わりではない」と、訓練場返還で国立公園化や世界遺産登録を目指し観光資源としての跡地利用を狙う。
 1995年以来20年ぶりとなる村長選。96年のSACO合意に基づく北部訓練場返還計画の一環で進むヘリパッド移設問題は村長選で初めて是非が問われることになり、選挙結果は今後の計画に影響が出る可能性がある。
 村長選ではヘリパッド問題と共に、昨年の知事選で伊集氏は移設容認を掲げた仲井真弘多氏の支部長を担当、當山氏は移設反対の翁長雄志氏の支部事務局長を務めたことから、米軍普天間飛行場返還に伴う名護市辺野古移設計画の是非をめぐる昨今の選挙動向についても注目が集まる。
 結果は翁長氏が10万票差で大勝。だが、東村は仲井真氏の得票が翁長氏を61票上回った。一方、12月の衆院選では移設反対の玉城デニー氏の得票が移設容認の比嘉奈津美氏を81票上回った。「保守地盤」とされる東村で、辺野古移設の是非を問う選挙の票は拮抗(きっこう)している。
 村長選では両氏とも無所属での出馬を予定するが、知事選と同様の枠組みでの選挙戦が予想される。伊集陣営は「保守地盤は変わらない」と主張。當山陣営も「流れは来ている」と譲らない。両陣営とも3月24日までに村内に事務所を設置。21日の告示まで1週間余りとなった東村長選は「これまでにない雰囲気」(東村議)と熱を帯び始めている。