海中道路の生態系悪化 琉大准教授ら分析 埋め立てで泥増加


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ジェイムズ・デイビス・ライマー氏

 うるま市の海中道路周辺の海域で、1971年の埋め立てで環境が大きく変化し、周辺生態系も著しく崩れていることが14日までに琉球大学理学部のジェイムズ・デイビス・ライマー准教授らの調査で分かった。周辺の地質が埋め立て前と比べて泥が増え、ある地点ではほかの地点よりも生態系が悪化していた。

ライマー准教授らは海流の変化が影響したと分析している。
 10日発行の国際学術誌「Marine Pollution Bulletin」で発表した。
 ライマー准教授は、沖縄科学技術大学院大学(OIST)の研究者とうるま市海の文化資料館の職員ら17人で調査。昨年秋から約1年間、勝連半島と平安座島を結ぶ道路の南北10地点で、海底を50~80センチ掘って地質の年代を調べた。生物については地域住民から聞き取りをした。同時に現在の水質や漂着ごみ、生物の種や数なども調べた。
 地質は埋め立て前と比べて、10地点中7地点で泥が2~10倍多くなっていた。さらに流れがない場所にすむ有孔虫が増えており、海流が滞っていることが推測されると分析した。
 10の調査地点の比較で、道路の起点側は海流の流れが弱くなっていた。与勝半島南の地点(1S)は、汚染された場所に生息するヨコエビが異常に多かった。
 ライマー准教授は「沖縄の海は生物多様性が豊かだが、(1地点は)多様性が低く環境が不健康になっている」と指摘した。その上で「事後の環境アセスメントは埋め立ての反省にもなる」と話し、今後東海岸で調査をさらに広げる予定だ。