「大ヒット盤」ＴＵＢＥ『いまさらサーフサイド』

春シングルにも初夏の香り

　３年ぶりの新作。デビュー３０周年は、季節ごとにシングルを発売する予定だが、本作は春本番の絵柄に反して初夏の香りが漂う。でもそれこそがＴＵＢＥだ。

　表題曲は、海沿いのドライブでかつての夏や恋を想起するというポップス。「サイドシート」「夏のフォトグラフ」など歌詞も８０年代っぽく、穏やかな演奏とも相まって新しくも懐かしく聞ける。
　カップリングは、そんな恋人たちが“夏の罠”に落ちようという妖しげなミディアム調。ギターの春畑道哉がボーカルを務めることで、ギラギラな炎天下が浮かぶ前田亘輝とは対照的に、月光下での哀愁が漂う。
　初回盤では、前年のＬＩＶＥツアーから５曲の映像も収録。スタジオ録音では収まらないほど前田の歌声が伸びやかで力強い。ドラムの松本玲二がボーカルの『人類のために乾杯！』や、謎（？）のビデオジョッキー“しーおいりょーじ”など、ほのぼのとする一面も。本作を聞けば、夏の苦い思い出も浄化され、来たる季節を待ち遠しく思うはず。
　（ソニー・ＤＶＤ付き初回限定盤１５７４円＋税、通常盤１２０４円＋税）＝つのはず誠
（共同通信）
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つのはず誠のプロフィル
　つのはず・まこと　１９６８年生まれ。総合化学会社、音楽宣伝会社勤務を経て、Ｔ２Ｕ音楽研究所設立。音楽市場分析、コンピレーションＣＤの企画・選曲などを手がける。