少年兵の無念さ一冊に 「シュガーローフの戦い」描く


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
戦後70年の節目に新作「シュガーローフの戦い~日米少年兵たちの戦場」を描き上げた新里堅進さん=14日、那覇市天久の琉球新報社

 漫画家の新里堅進さん(69)が戦後70年の節目に新作「シュガーローフの戦い~日米少年兵たちの戦場」を完成させた。

沖縄戦中に日米両軍が激しく交戦し、多数の死傷者が出た真和志村安里(現・那覇市)の五二高地(シュガーローフ)の戦いを基軸に、若い兵士たちの無念さとともに、戦争の悲惨さと愚かさを迫力ある描写で伝える力作。新里さんは「若者たちは国のためにと純真な思いで兵士になったが、実際の戦場は違っていた」と作品に込めた思いを語る。
 新里さんは14日、那覇市天久の琉球新報社に富田詢一社長を訪ね、6年ぶりの新作を紹介した。作品は日米両軍の作戦関係資料や沖縄戦関連の著書、住民の証言などを読み込み構想を考えた。作品は600ページで制作に約5年費やした。
 沖縄戦中の1945年5月に真和志村天久、安謝、安里、真嘉比で繰り広げられた日米両軍の戦闘に焦点を当てた。旧玉城村で現地召集され真和志村の激戦地へ派遣された青年たちの姿、家族の写真を手に殺された米兵、負傷し全身を包帯で巻かれながらも手りゅう弾を持って敵陣地へ突入する日本兵の様子などを描いている。
 新里さんは集団的自衛権の解釈変更や特定秘密保護法の施行などを踏まえ「少しずつ不気味な空気が(日本に)漂っている。第2の沖縄戦がいずれ起きないだろうかと怖くなる」と心配し「この作品を多くの若い世代に読んでほしい」と呼び掛けた。