「千代金丸」の模造刀完成 今帰仁で展示


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実物に忠実に再現された「千代金丸」の刀身とこしらえ=16日、今帰仁村歴史文化センター

 【今帰仁】命を守る力が込められたとされている北山王の宝刀「千代金丸」の模造品が完成し、17日から今帰仁城跡隣の村歴史文化センターで展示されている。

千代金丸の実物は国宝に指定され、現在那覇市歴史博物館が所蔵する。模造品として約600年ぶりに里帰りする宝刀に、新たな観光資源として期待が寄せられている。
 千代金丸は1416年に北山王の攀安知(はんあんち)が中山の尚巴志に攻め滅ぼされた時に持っていたとされる宝刀。北山を守りきれなかったことに怒って霊石を切りつけ、攀安知自身も自害しようとしたが、命を守る力が込められていたために自害できず、志慶真川に投げ捨てたとされている。その5~60年後に伊平屋の住人が拾って中山王に献上したとされている。
 再現されたのは、全長82・2センチの刀身と91・2センチのこしらえ(さや)。さやに付いた切れ目の位置や柄の模様まで、実物に忠実に再現された。刀身の作成は長野県、磨きは神奈川県、さやの再現は東京都で行われた。
 作成には2014年度の村の一括交付金事業を活用した。総額は約1千万円。国宝に指定されている実物を外に持ち出すことのできる修理期間のタイミングで事業を実施。さやについては実物の修理と再現の作業を同時並行で行い、より本物に近づけた。
 16日、ショーケースに入れる前に村民に披露した同センターの仲原弘哲館長は「今帰仁城跡に訪れた観光客に、北山王のストーリーと共に刀も見てもらいたい」と観光資源としての期待を示した。
 同日、刀を見学しに来ていた渡久山豊子さん(61)は「村の誇り。若い人にも伝えて守っていかないといけない」と語った。
 今帰仁村歴史文化センターの開館時間は午前8時~午後6時。