「隠れた名盤」Rake『はじまりの街』


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
Rake『はじまりの街』(初回生産限定盤)

新機軸を打ち出そうとする4thアルバム

 2011年のシングル『100万回の「I love you」』がロングヒットした仙台在住の男性の4thアルバム。本作では、大半の作曲を打ち込み系に強い松浦晃久と共作したり、他の歌手と多数デュエットしたり、新機軸を打ち出そうと懸命だ。

 例えば、Rake版『もう恋なんてしない』とも取れそうな『逢わなけりゃよかった』は、ファンキー歌謡だし、中孝介が参加した『風になって』は、青春群像が浮かびそうな切なくも前向きなバラードだ。他に、藤岡友香(1970年代の吉田美奈子を彷彿させる美声!)が参加した『猫と小鳥』もソウルフルで新鮮。
 ただし、本人のキャラが今一つ見えないためか、どの曲も印象が淡い。初回盤DVDの“Rake散歩in台湾”での極度のハニカミ青年というキャラが見える歌詞が増えれば、独特なハスキーな声ももっと生きそうだ。
 過渡期ゆえに散漫でもエネルギーに満ちた本作を聞けば、変化を選ぶ際に孤独よりも共存の大切さが浮かぶはず。
 (ソニー・DVD付き初回生産限定盤・3700円+税)=つのはず誠
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つのはず誠のプロフィル
 つのはず・まこと 1968年生まれ。総合化学会社、音楽宣伝会社勤務を経て、T2U音楽研究所設立。音楽市場分析、コンピレーションCDの企画・選曲などを手がける。

はじまりの街
はじまりの街

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