自然に宿る精霊の声があなたの心を癒やします
アボリジニというとオーストラリアの先住民族という知識だけでこれまで彼らの音楽に触れる機会はなかったのですが、グルムルを聞いてその歌声のとりこになりました。2008年に発表されたこのデビュー作はイギリス、アメリカでも発売されエルトン・ジョンやスティングそしてビュークが絶賛、全世界で50万枚を売り上げました。
イギリスの植民地となった18世紀後半以降殺害や虐待によって一時は絶滅寸前と言われたアボリジニですが、自然と精霊をルーツにしたその独自の文化は今日まで受け継がれています。
伝統音楽としてはユーカリで作ったディジュリドゥの演奏が有名ですがグルムルはギターなどの西洋楽器を用いて彼らのルーツを歌に込めて伝えています。人類学的にはいろいろなルーツがあるようですがグルムルの出身が北部の島のためかメロディー・ラインやサウンドにはハワイのケアリイ・レイシェルやIZに似たポリネシア音楽の影響が感じられます。
(ソニーミュージック・2400円+税)=北澤孝
(共同通信)
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北澤孝のプロフィル
きたざわ・たかし 1947年、東京生まれ。小学生のころからダイナ・ショアなど洋楽を好み、大学時代はニューオリンズ・ジャズ・クラブに所属し、トラッド・ジャズを研究。その後レコード会社、音楽出版会社に勤務。携わったアーティストは、ポール・モーリアからボン・ジョヴィ、ブリトニー・スピアーズ、MONKEY MAJIK、Superflyまで多岐にわたる。