伸びしろ無限の17歳ボカロP
アメリカ在住の日本人ボカロP(ボーカロイドを使って発表する音楽家)の初CD。まだ17歳と聞いて、“未完成”という題名に、“伸びしろが無限にある”という意味を感じた。
まず、アコギやピアノのシンプルな構成からバンドサウンドまで、実に幅広いサウンドに感心し、さらに、絶妙な対句表現や“日本の”夏景色が色濃く描かれた歌詞に驚く。特に、『空奏列車』は、ヒット・シングルと言われても違和感がないし、猫を探す少女と少年を描いた『真夏と少年の天ノ川戦争』など、7分間なのに長編アニメを見ているような錯覚を起こす。
だからこそ、楽曲発表の手段とは言え、今後、生身の歌手によるものも聞いてみたい。例えばback numberの清水依与吏が歌えば、情景がより切なく見える気がした。
ともあれ、supercellのryoのように活躍していくのではと期待したい逸材。本作から、自分の属する所をいったん離れてみて、その良さを再認識するのも有りだと気付かされるはず。
(サブカライズレコード・2000円+税)=つのはず誠
(共同通信)
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つのはず誠のプロフィル
つのはず・まこと 1968年生まれ。総合化学会社、音楽宣伝会社勤務を経て、T2U音楽研究所設立。音楽市場分析、コンピレーションCDの企画・選曲などを手がける。
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