「島の自然守れ」 奄美で新基地フォーラム 沖縄と連帯論議


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  【奄美で金良孝矢】名護市辺野古での新基地建設に伴う埋め立て用土砂が採取される予定の鹿児島県奄美市で30日、「奄美の海山を守り、沖縄に連帯する」フォーラム(主催・海の生き物を守る会、自然と文化を守る奄美会議)が開かれた。島内外から自然保護の専門家やプロサーファーら4人が登壇し、埋め立てによる環境への影響や奄美大島の環境を守る運動などを報告した。参加者は奄美の自然を守ることで辺野古の新基地建設阻止につなげる意義を確認した。会場には定員100人を超える来場者が詰めかけ、登壇者の話に耳を傾けた。

 「海の生き物を守る会」の向井宏代表(71)=京都市=は、絶滅危惧種ジュゴンの生態を説明し「奄美大島の自然を守ることで、辺野古の自然を守ることにつながる」と強調した。日本自然保護協会の安部真理子主任(49)は、環境省が奄美大島や沖縄の世界自然遺産登録を目指していることを指摘し「対象でない陸や海での採取は構わず、採った土砂を他の地に持って行って埋めるのはとんでもない話だ」と述べた。
 「自然と文化を守る奄美会議」の薗博明共同代表(80)=奄美市=が、地元の市民運動を報告し「地域のことは地域の住民が決める」と決意を述べた。プロサーファーの碇山(いかりやま)勇生さん(30)=奄美市=は、自然豊かな地元でサーフィンできることに感謝し「皆で手を取り合って島の自然を守っていこう」と呼び掛けた。
 討論では来場者から「沖縄に人殺しをさせる新基地を造らせていいのか」「鹿児島県大島支庁前で横断幕やプラカードで意思表示する熱意も必要だ」との意見が挙がった。採石業に携わる男性からは「採石地は閉山したくても簡単にはできず、需要がある時には山を削るチャンスでもある」との指摘もあり、さまざまな議論が展開された。
 31日は「奄美会議」の呼び掛けで、採石地周辺で活動する環境団体「環瀬戸内海会議」や「門司の環境を考える会」の代表や代理人で、全国連絡協議会の結成集会を奄美市で開く。

「奄美の海山を守り、沖縄に連帯する」フォーラムで活発な議論を交わす登壇者=30日、鹿児島県奄美市名瀬の「AiAiひろば」
フォーラム登壇者の話に耳を傾ける来場者たち