「ＤＶＤ＝２」荻野目洋子『30th Anniversary LIVE　ディア・ポップシンガー』

自然体に見えてすがすがしい
　２０１４年１０月１６日に赤坂ブリッツで行われた、女性シンガーの３０周年コンサートを収録している。２枚組の作品だが、Ｂｌｕ―ｒａｙとＤＶＤがセットになっている作品はこれまで見たことがない。両方とも同じ内容のライブ本編が収録され、そしてなぜかＤＶＤにはインタビューとコンサート当日のドキュメンタリーも入っている。

　デビューは１９８４年。８０年代を思わせるユーロビート調の曲がどこか懐かしく、デビュー曲『未来航海―Ｓａｉｌｉｎｇ―』や『コーヒー・ルンバ』など数々のヒット曲も披露する。“オギノメちゃーん”という叫び声が何度も聞こえる会場には同年代と思われる男性の観客が多い。そんな観客に対して、『ダンシング・ヒーロー』で、やや高度なダンスを一緒に踊らせようとするところが愉快。
　荻野目自身は、ファンの夢を壊すことなく、３児の母とは思えないほど若々しく美しい。森高千里や今井美樹など、現役の女性シンガーほど陰では計り知れない努力をしていると思うが、自然体に好きなことをしているように見えて、すがすがしい。
　 “歌は自分を見つめる鏡のようなもの”、“お客さんと一緒に年を重ねていきたい”とインタビューで語るところも人間的魅力にあふれている。
　（ビクターエンタテインメント・４５００円＋税）＝小西樹里
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小西樹里のプロフィル
　こにし・じゅり　１９７７年生まれ。米東海岸で高校・大学時代を過ごす。雑誌編集を経て、２００６年よりフリー。音楽、本、映画、演劇、写真、ラジオなど文化系を守備範囲とする一方、国際政治論／動静ウオッチャーでもある。
(共同通信)