<インタビュー>諸見里県教育長 平和創造する教育を


社会
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平和教育について思いを語る諸見里明教育長=4日、県庁

 沖縄戦から70年目を迎え、戦争の教訓を次世代へ継承する重要性が増している。平和教育の要を担う学校での取り組みと課題について諸見里明県教育長に聞いた。

 ―県教委は戦後70年のことし、高校生による平和行進など新たな取り組みを行う。企画に込めた思いを。
 「県内高校生の沖縄戦に関する意識調査の結果などからも沖縄戦、そして戦後史をどう学習していくのかが課題として浮かび上がってきている。こうした若者たちの実情を真摯(しんし)に受け止め、70年の節目に、平和のありがたさをもう一度再確認してもらいたいという思いで企画した」
 ―平和教育が現場の教師任せという指摘もある。平和教育を教育課程(カリキュラム)に盛り込む考えは。
 「学校の教育課程は学習指導要領という法的な縛りがある。中城村は琉球史を学ぶ「ごさまる科」という独自の科目を開設しているが、これは特区制度を活用した。平和教育や琉球史をカリキュラムに盛り込むことは悪いことではない。ただ平和教育のカリキュラム化は、小中学校は市町村の教育委員会が、高校は校長が考えていくものだ。高校教師向け平和教育事例集をを出したが、来年にも改訂できないか検討を始めている」
 ―平和教育について学校現場には苦情も寄せられる。県教委の対応は。
 「県外の人が読むと、えーというような(信じられない)証言もあるかもしれないが、これは史実であり現実に起こったことだ。これをしっかりと伝えることは教育者の使命であり、何ら臆することはない。初任者研修、10年目研修などで平和教育の研修も充実させている」
 ―地域や家庭でできる平和教育は。
 「沖縄戦を教える際、単なる過去の悲惨な出来事を表層的な記憶にとどめず、なぜ、どうしてという視点で深く掘り下げることを意識してほしい。平和をつくり出す力を育む教育が大切だ。将来、子どもたちが平和の創造者として社会に参画していくことを期待している」
(聞き手・仲井間郁江)