「再ブレーク盤」藤巻亮太『旅立ちの日』


社会
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シンプルで自然に入ってくる旋律と歌詞

 3人組バンド、レミオロメンを休止して2作目のアルバムは、古巣ビクターからの発売。夜明け直前の街や、雲海から突き出す雪山など、本人撮影の写真もより味わい深い作品にする。

 6曲すべて本人による作詞・作曲・編曲、いずれも奇をてらわぬ曲想や演奏で、少し聞くとインディーズ時代のようで、シンプルな分、旋律や歌詞が自然に入ってくる。「君と過ごした時間が/僕の魂のふるさと」と友に別れを告げる『旅立ちの日』、生まれたての命を賛美する『born』、そして迷いを恐れず歩いていく『名もなき道』など、歌詞の前半から後半にかけて、決意が固まっていく描写は年の功を感じさせる。それでいて、藤巻の鼻にかかった声が、不安になりつつ一途な気持ちを助長させ、少年のつぶらな瞳を想起した。
 back numberより落ち着きつつ、斉藤和義ほど開き直ってもいない、まさに30代の中間的な感情を代弁してくれる。本作を聞けば、幾つになっても自分の夢を追いたくなるはず。
 (ビクター・写真集付き初回盤2407円+税、通常盤2037円+税)=つのはず誠
(共同通信)
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つのはず誠のプロフィル
 つのはず・まこと 1968年生まれ。総合化学会社、音楽宣伝会社勤務を経て、T2U音楽研究所設立。音楽市場分析、コンピレーションCDの企画・選曲などを手がける。

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