「洋楽=1」メロディ・ガルドー『カレンシー・オブ・マン』


社会
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メロディ・ガルドー『カレンシー・オブ・マン~出逢いの記憶~』

ジャズを超えたオーディオ・ジャーナリズム

 「今作では言いたいことを言わなくてはならない、それほど世界には問題が山積みされています。命よりお金を優先して戦争を起こす政治、格差そして差別。私は決心しました、オーディオ・ジャーナリズムをやろうと。それがこのアルバムの意図であり想いなのです」

 そう語るメロディの新作はオリジナル楽曲をクロスオーバーしたサウンドで表現し、ジャンルとしてのジャズを超越した画期的な作品です。
 過去にも似たシンガーがいました。ゴスペル、ロック、シャンソン、クラシックにも精通し「時代を反映し伝えたいことを歌う」と人種差別に対するプロテスト・ソングを歌い60年代の公民権運動をリードしたニーナ・シモンです。後年はアメリカの娯楽音楽が受け入れがたく世界を回りメロディのようにフランスに移住しています。「プロテストではなくラヴ・ソングをもっと歌える日が来ればいいと思います」と言ったのはニーナですがメロディも同じ気持ちではないでしょうか。
 (ユニバーサル・2600円+税)=北澤孝
(共同通信)
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北澤孝のプロフィル
 きたざわ・たかし 1947年、東京生まれ。小学生のころからダイナ・ショアなど洋楽を好み、大学時代はニューオリンズ・ジャズ・クラブに所属し、トラッド・ジャズを研究。その後レコード会社、音楽出版会社に勤務。携わったアーティストは、ポール・モーリアからボン・ジョヴィ、ブリトニー・スピアーズ、MONKEY MAJIK、Superflyまで多岐にわたる。

カレンシー・オブ・マン~出逢いの記憶~
メロディ・ガルドー
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