「住民巻き込み罪悪感」 沖縄戦従軍元米兵ら、激戦地歩く


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「巻き込まれた住民に罪悪感を感じる」と回想した元米兵のハリガスさん(右)とサイモンズさん=21日午後、浦添市の浦添城跡

 1945年の沖縄戦に従軍した元米兵と家族らが21日から26日まで沖縄に滞在し、県内の戦跡を巡っている。元米兵らが沖縄を訪れるのは沖縄戦以来初めてで、70年ぶり。元米兵らは激戦地を巡り「地元の住民らを巻き込んでしまい心苦しい。戦争はもう二度と起きてほしくない」と話し、平和を祈念した。

 来沖しているのは、バージル・サイモンズさん(91)=米オレゴン州=とウィリアム・ハリガスさん(89)=コロラド州、チャールズ・ヴォーランドさん=オハイオ州=ら。21日は沖縄戦当時に日米両軍が激しい戦闘を繰り広げた那覇市おもろまちの高台(通称・シュガーローフ)や浦添城跡の前田高地(浦添市)を訪れ、戦争犠牲者を追悼した。
 サイモンズさんは米陸軍第96歩兵師団、ハリガスさんは沖縄本島に艦砲射撃を行った米海軍の戦艦メリーランドに所属していた。ヴォーランドさんは45年4月1日に読谷村の海岸から上陸した米軍の第1海兵師団の上等兵だった。
 本島東部から南下したというサイモンズさんは「ハワイの真珠湾攻撃で日本軍にやられ反撃を誓った。沖縄戦では日本軍に対し銃撃、爆破を繰り返したが、年月を経て成長し、仕方なかったと思うようになった。命令されたことに従わざるを得なかった」と話した。
 ハリガスさんは「艦砲射撃で巻き込まれた住民のことを思うとやはり罪悪感がある。戦争はもうすべきではない」と話した。ハリガスさんが乗船していたメリーランドは、神風特攻隊の攻撃を受け約50人の米兵が死亡したという。
 読谷村から上陸して首里攻防の戦闘に加わったヴォーランドさんは「ただ悲しい。住民の姿は見なかったが、戦争に巻き添えになった人を思うと申し訳ない」と言葉少なに語った。
 ハリガスさんの娘のテリー・アイデッカーさん(61)=コロラド州=は「神風特攻隊の攻撃を受け負傷した父の願いは沖縄に戻ってくることだったので、一緒に来ることができてよかった。焼け野原だった沖縄がこれほど復興しているとは思わなかった」と感慨深げに話した。
 元米兵らは23日に豊見城市の海軍司令部壕(ごう)や糸満市の平和の礎などを訪れる予定。(松堂秀樹)