土砂条例案、「生物保全の第一歩」 辻参考人が評価


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辻瑞樹教授

 県議会与党が6月定例会に提出した県外からの埋め立て土砂や石材の搬入を規制する条例案を審議する特別委員会が26日、県議会で開かれた。参考人として琉球大学農学部亜熱帯農林環境科学科の辻瑞樹教授を招き、外来生物侵入の問題点などについて質疑した。辻教授は「沖縄は日本の中でも特異的に生物多様性が高く、積極的に守るべきだ。条例案は外来生物法の精神にのっとったものであり、高く評価したい」と述べた。

 条例案が規制の対象を、県外からの土砂や石材に限定していることについて「大量の土砂を持ち込む行為は、潜在的に外来種が侵入する可能性がある。土砂を優先するのは賢い選択だ。全体として生物多様性の保全のためにできることはまだあると思うが、第一歩としては非常にいいと思う」と評価した。
 生物多様性の保全が重要な理由として、人類が利用する資源の多くが生物由来であることを指摘し「野生生物は全て未使用の遺伝的資源であり、創薬、バイオ燃料、新規作物の創出に活用できる。人類の存続や地域の経済的に発展の上でも有用であり、短期的な利害を優先させて失ってはならない」と強調した。
 海外での外来種被害の事例として、グアムの在来種のグアムクイナが外来種のブラウンスネークに補食されて絶滅したことや、インド洋のクリスマス島で在来のアカガニが外来種のアシナガキアリの影響で激減したことなどを報告した。