「DVD=3」グッドモーニングアメリカ


社会
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『「in トーキョーシティツアー 2014―2015」ファイナル@Zepp Tokyo 2015.03.22』
ベーシストの余興に目を奪われがちだが…
 ライブの冒頭、宙吊りになって登場するのは、やたらテンションの高い忍者(東京公演のため江戸にかけているらしい)。その衣装の中から、ピンク色の短パンをはいた金髪のベーシストが現れる。最近の若いバンドの中でも異色の始まり方だ。本作は、男性4人組ロックバンドが今年3月に行ったツアーのファイナル公演を収録した2枚組となっている。

 キャラクターの濃いベーシストの余興につい目を奪われてしまいがちだけれど、ライブの演奏シーンはいたってまじめ。2枚目に入っているミュージック・ビデオで楽曲をじっくり聴くと、『アブラカタブラ』『拝啓、ツラツストラ』など、現代の日本社会のありようや人それぞれの不安や弱さをまっすぐにとらえながら、その先の希望を歌っている。アンコールでのボーカルの弾き語りひとりでも十分に聴かせる力量がある。
 ツアーのオフショット映像を見てみると、ベーシストはいつも同じテンションのようだ。ツアー中は全国各地の名産品をもとにしたかぶりものをしたり、つねに短パンだったりとブレがない。このベーシストを擁する独自性も魅力のひとつであるのは間違いない。
 (日本コロムビア・4000円+税)=小西樹里
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小西樹里のプロフィル
 こにし・じゅり 1977年生まれ。米東海岸で高校・大学時代を過ごす。雑誌編集を経て、2006年よりフリー。音楽、本、映画、演劇、写真、ラジオなど文化系を守備範囲とする一方、国際政治論/動静ウオッチャーでもある。
(共同通信)

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小西樹里